独自用語
帰ってきた爆撃機(かえってきたばくげきき)
生還した爆撃機の弾痕だけで装甲位置を決める誤り(生存者バイアス)になぞらえ、受注案件だけを分析して勝ちパターンを作る危うさを示す本書の逸話名のこと。
更新日 。版: ゲラ準拠・第12章改稿版準拠。
Survivorship bias
「帰ってきた爆撃機」とは、第二次大戦中に統計学者アブラハム・ウォルドが見抜いた生存者バイアスの逸話です。生還機の弾痕は特定の部位に集中していましたが、データには撃墜されて還らなかった機体が含まれていません。弾痕の集中する部位はそこを撃たれても帰還できる場所で、補強すべきは弾痕がほとんどない急所(エンジンなど)だとウォルドは考えました。
本書はこれを、受注案件だけを並べて共通項を探す行為と構造がまったく同じだと指摘します。受注3件がすべて製造業でも、失注15件もすべて製造業なら「製造業に売れる」は型ではありません。勝ちパターンは、受注群と失注群を並べて差分を取って初めて浮かび上がります。
失注案件には「どの工程で消えたか」が残っているため、失注を「欠けていた工程」と「ズレてしまった工程」の2項目で記録します。この記録が十数件溜まれば見送り理由に傾向が見え、Whoの箱に書く「売ってはいけない相手」の仮説になります。勝ち筋だけの型は完成度が半分で、負け筋まで書かれて型は完成します。
本書での位置づけ
語の初出は第7章の図7-③の注記(P182)。本文末(P184)でも、売れた案件だけで型を作らない危うさを第10章で扱うと予告される。本論は第10章「売れた案件だけを分析しない」(P239〜241)と図10-③ 帰ってきた爆撃機の模式図(P240)。第12章のカルテC社(P288)でも、失注案件を並べて「欠けていた工程」を特定する対策が登場する。
本文より
「受注案件だけを並べて共通項を探す行為は、生還した機体だけを調べて装甲の場所を決める行為と、構造はまったく同じです。」(第10章)
「勝ち筋だけ書かれた型の完成度は半分です。負け筋(どの相手を追わないか、どの工程を飛ばすと案件が消えるか)まで書かれて、型は完成します。」(第10章)
関連用語
図版・フレーム名
勝ちパターンの4つの型
(かちパターンのよっつのかた)
受注した一勝の理由をWho(誰に)・What(何が)・Why Now(なぜ今)・How(どうやって)の4つの箱に分けて言語化し、組織で再現できる型に育てる本書の枠組みのこと。
ツール・シート
勝ちパターン整理シート
(かちパターンせいりシート)
受注や強い兆しの直後に、Who・What・Why Now・Howの4つの型と検証予定を1ページに書き留め、個人の勝ち方を組織の型へ育てるための本書のシートのこと。
ルール
ルール7 勝ちパターンを型にして共有する
(ルールなな かちパターンをかたにしてきょうゆうする)
7つのルールの最後で、エース個人の頭の中にある売れた理由と売れなかった理由を4つの型に言語化し、誰が商談しても一定水準で戦える組織の再現構造に変える原則のこと。
ツール・シート
1商談1ページ
(いちしょうだんいちページ)
今日の仮説・採れた事実・断り文句と翻訳・課題強度スコア・チェックリスト10の充足・仮説の更新・次のアクションの7項目を、商談当日中に10分で書く検証ログの書式のこと。
ツール・シート
断り文句の翻訳表
(ことわりもんくのほんやくひょう)
「予算がない」「忙しい」などの定型の断り文句ごとに、考えられる背景(商談で確かめる仮説)と、その場で確かめる質問を対応づけた表のこと。
期
第4期 型化期
(だいよんき かたかき)
6つの期の4番目の期。エースの個人技を、誰でも再現できる型に変える段階で、問いは「“あの人”がいなくても売れるか」。第10章の主戦場にあたる期のこと。
FAQ
受注案件の共通項を探すだけでは、なぜ型にならないのですか?
受注に共通する要素は「勝因」かもしれませんが、単に「母集団に多いだけ」かもしれないからです。本書は、受注3件がすべて製造業でも失注15件もすべて製造業なら型ではないとし、受注群と失注群の差分を取ることを求めます。
失注案件は何を記録すればよいですか?
本書は受注までのフローを整理したうえで、「欠けていた工程」(受注案件が踏んでいた工程のうち踏めなかったもの)と「ズレてしまった工程」(順番やタイミングのズレ)の2項目で記録することを勧めます。十数件溜まれば見送り理由の傾向が見えます。
出典: 『ゼロイチ営業』(中山健彦・株式会社MarchOn)。更新日 。版: ゲラ準拠・第12章改稿版準拠。引用は1ページあたり2件まで。