独自用語
Why Now(ホワイナウ)
買い手が「いつか」ではなく「今」動く理由のこと。現状維持という最強の競合を上回る動機であり、待つものではなく営業側が顧客の中から掘り当て、醸成するもののこと。
更新日 。版: ゲラ準拠・第12章改稿版準拠。
Why Now
Why Now(なぜ今)とは、顧客が「いつか」ではなく「今」買う理由のことです。第1章で予告され、第6章(ルール3)で本論が展開されます。買い手の最強の競合は「何もしないこと」であり、現状維持はコストもゼロに見えます。このブレーキを上回る「今動く理由」がない限り、どれほど良い提案も採用されません。
新規事業の商材には予算科目も更新時期も担当部署もなく、検討する「時期」が顧客のカレンダーに存在しません。「時期が来たら検討します」は多くの場合、「乗り換えの手間とリスクを上回る『今動く理由』がまだない」と読み替えられます。だからWhy Nowは待つものではなく、営業側が掘り当てるものだと本書は位置づけます。
手がかりは、顧客の中にある変化・圧力・失敗の3つの鉱脈と、顧客の外にある競合・トレンド・法規制・経営の4つの起点です。営業が言えば説得ですが、顧客が自分の口で語れば決意になります。掘り当てたWhy Nowは、チェックリスト10や勝ちパターンの4つの型でも使われます。
本書での位置づけ
初出は第1章「3年後の利益は、今日の手間に負ける【近視眼バイアス】」(P41〜42)での予告。本論は第6章「なぜ今買うのか」を掘り当てる(ルール3。本文のルール見出しは「「時期が来たら検討します」の正体」、P135〜163)で、図6-①「課題の4層構造」(P144)、図6-②「Why Nowを醸成する4つの起点」(P150)に対応。第7章図7-③の4つの型(P182〜183)、第8章図8-②(P191)、第9章図9-③ブロック❶(P215)、第10章の勝ちパターン整理シート記入例(P236〜237)、巻末付録③チェックリスト10(P317)・⑥勝ちパターン整理シート(P320〜321)にも再登場。
本文より
「この巨大なブレーキを上回る「今動く理由」、つまり「Why Now」が無い限り、どれほど良い提案も採用されないのです。そして、Why Nowは、待つものではなく、私たちから掘り当てるものです。」(第6章)
「Why Nowは「今買う理由」である前に、「今のままでいることが損である理由」でもある。」(第6章)
関連用語
ルール
ルール3 Why Nowを掘り当てる
(ルールさん ホワイナウをほりあてる)
7つのルールの3番目で、顧客が「今動く理由」であるWhy Nowを、向こうから来る“時期”として待つのではなく、営業が顧客の内側と外側から掘り当てて設計する原則のこと。
独自用語
3つの鉱脈(変化・圧力・失敗)
(みっつのこうみゃく(へんか・あつりょく・しっぱい))
課題の構造の次に掘る「時間軸」の手がかりで、顧客の中に埋まったWhy Nowの原石が見つかる3つの場所(変化・圧力・失敗)と、それぞれを掘る質問群のこと。
独自用語
Why Nowの醸成(4つの起点)
(ホワイナウのじょうせい(よっつのきてん))
顧客の中に明確なWhy Nowが見つからないとき、顧客の外側にすでにある事実(競合・トレンド・法規制・経営)を顧客の文脈に翻訳して届け、気づかせにいくこと。
一般用語(本書での使い方)
現状維持バイアス
(げんじょういじバイアス)
人が無意識に「今のままでいること」を選んでしまう傾向を指す行動経済学の概念。本書では4つのブレーキの①で、提案が競合より先に戦う「何もしないこと」の正体と位置づけるもののこと。
図版・フレーム名
課題の4層構造
(かだいのよんそうこうぞう)
顧客の課題を第1層 理想→第2層 現状→第3層 原因→第4層 阻害要因の順に掘り下げ、今日まで解決されなかった理由まで届かせるヒアリングの枠組み(図6-①)のこと。
図版・フレーム名
勝ちパターンの4つの型
(かちパターンのよっつのかた)
受注した一勝の理由をWho(誰に)・What(何が)・Why Now(なぜ今)・How(どうやって)の4つの箱に分けて言語化し、組織で再現できる型に育てる本書の枠組みのこと。
FAQ
「時期が来たら検討します」と言われたら、待てばよいのですか。
本書は、新規事業の商材には検討サイクルが顧客側に存在しないため、その「時期」は待っても来ないとします。「今動く理由」がまだ弱いと読み替え、変化・圧力・失敗の3つの鉱脈を質問で掘るのが対処です。
Why Nowは営業側が作ってもよいものですか。
顧客の外側にすでにある事実(競合・トレンド・法規制・経営方針)を顧客の文脈に翻訳して届ける「醸成」は推奨されます。ただし存在しない危機感を煽るのは脅しであり、必ず信頼を失うと本書は一線を引いています。
出典: 『ゼロイチ営業』(中山健彦・株式会社MarchOn)。更新日 。版: ゲラ準拠・第12章改稿版準拠。引用は1ページあたり2件まで。