独自用語
3つの鉱脈(変化・圧力・失敗)(みっつのこうみゃく(へんか・あつりょく・しっぱい))
課題の構造の次に掘る「時間軸」の手がかりで、顧客の中に埋まったWhy Nowの原石が見つかる3つの場所(変化・圧力・失敗)と、それぞれを掘る質問群のこと。
更新日 。版: ゲラ準拠・第12章改稿版準拠。
3つの鉱脈とは、顧客の中に埋まっているWhy Now(今買う理由)の原石が見つかる場所を、変化・圧力・失敗の3つに整理したものです。課題の4層構造で課題の「構造」を掘った後、次に掘る「時間軸」の手がかりとして第6章で示されます。
5年前から放置された課題と先月から痛み出した課題とでは、稟議の動く速さがまったく違うからです。鉱脈①変化は役員の就任や組織再編、中期経営計画の切り替わりなどで、「新しい誰かの、新しい説明責任」を生みます。鉱脈②圧力はコスト削減指示や監査の指摘など数字で迫るもので、期限付きの圧力はそのままWhy Nowになります。鉱脈③失敗はトラブルや頓挫、失注・クレームなど直近の痛みの記憶で、前置きを添えて尋ねれば最も濃いWhy Nowが出てきます。
本書は鉱脈ごとに3問ずつの質問例を示し、著者(中山健彦)が商談の序盤で最も多用する「最近、何か変わりましたか?」を代表質問に挙げます。目的は聞き出すことではなく、顧客自身が「今やらないとまずいのかもしれない」と気づくことです。
本書での位置づけ
初出は第6章「顧客の中に埋まった「Why Now」を掘る」(P146〜149)。ルール3「Why Nowを掘り当てる」の中核手順で、図6-① 課題の4層構造の次の段階にあたる。章末サマリー(P163)では「Why Now発掘質問集」として社内研修に転用できるとされ、巻末付録のチェックリスト10(P317)の★Why Now項目にも「変化・圧力・失敗」が組み込まれている。
本文より
「私の経験では、顧客の中に埋まっているWhy Nowの原石は、変化・圧力・失敗という3つの鉱脈のどれかにあります。」(第6章)
「これらの質問の目的は、情報を「聞き出す」ことではありません。顧客自身が、自分の口で語りながら「……そういえば、これは今やらないとまずいのかもしれない」と気づいていくことです。」(第6章)
関連用語
独自用語
Why Now
(ホワイナウ)
買い手が「いつか」ではなく「今」動く理由のこと。現状維持という最強の競合を上回る動機であり、待つものではなく営業側が顧客の中から掘り当て、醸成するもののこと。
図版・フレーム名
課題の4層構造
(かだいのよんそうこうぞう)
顧客の課題を第1層 理想→第2層 現状→第3層 原因→第4層 阻害要因の順に掘り下げ、今日まで解決されなかった理由まで届かせるヒアリングの枠組み(図6-①)のこと。
独自用語
Why Nowの醸成(4つの起点)
(ホワイナウのじょうせい(よっつのきてん))
顧客の中に明確なWhy Nowが見つからないとき、顧客の外側にすでにある事実(競合・トレンド・法規制・経営)を顧客の文脈に翻訳して届け、気づかせにいくこと。
一般用語(本書での使い方)
ジョブ理論
(ジョブりろん)
顧客は商品そのものを買うのではなく、片づけたい用事(ジョブ)のために商品を「雇う」と捉える、経営学者クレイトン・クリステンセンらが発展させた理論のこと。
ルール
ルール3 Why Nowを掘り当てる
(ルールさん ホワイナウをほりあてる)
7つのルールの3番目で、顧客が「今動く理由」であるWhy Nowを、向こうから来る“時期”として待つのではなく、営業が顧客の内側と外側から掘り当てて設計する原則のこと。
ツール・シート
チェックリスト10
(チェックリストテン)
商談で確認すべき10項目をBANT-CHのカテゴリと対応させて一覧にし、★印の3項目を「最小3項目」として、毎商談の直後に課題仮説を更新するために使うチェックリストのこと。
FAQ
「最近、何か変わりましたか?」と聞くだけで、なぜWhy Nowが見つかるのですか?
本書によれば、組織が変わるときにジョブが生まれるからです。役員の就任や組織再編、中期経営計画の切り替わりといった変化は「新しい誰かの、新しい説明責任」を生み、その人は「手土産になる打ち手」を探し始めます。その変化を最初に探り当てるための質問です。
過去の失敗について聞くのは失礼になりませんか?
本書もデリケートな質問だと認めたうえで、「差し支えなければ」と前置きを添えて丁寧に尋ねることを勧めています。直近の失敗は同じ損失を繰り返したくない動機を強めるため、3つの中で最も濃いWhy Nowが出てくる鉱脈だからです。
出典: 『ゼロイチ営業』(中山健彦・株式会社MarchOn)。更新日 。版: ゲラ準拠・第12章改稿版準拠。引用は1ページあたり2件まで。