一般用語(本書での使い方)
ジョブ理論(ジョブりろん)
顧客は商品そのものを買うのではなく、片づけたい用事(ジョブ)のために商品を「雇う」と捉える、経営学者クレイトン・クリステンセンらが発展させた理論のこと。
更新日 。版: ゲラ準拠・第12章改稿版準拠。
Jobs to be Done
ジョブ理論とは、顧客はプロダクトを買うのではなく、片づけたい用事(ジョブ)のためにプロダクトを「雇う」と捉える、経営学者クレイトン・クリステンセンらが発展させた理論です。本書では第6章で、Why Nowがどこに埋まっているのかを示すヒントとして使われます。
代表事例がファストフード店のミルクシェイクです。ある大手チェーンは属性調査と理想の顧客像へのヒアリングで味や種類を改善しましたが、売上は動きませんでした。研究チームが店舗で「誰が、いつ、何と一緒に、どんな状況で」買うかを観察すると、約4割は早朝に一人で来店した客のテイクアウトでした。彼らのジョブは、退屈な通勤運転の手持ち無沙汰を紛らわせ、昼まで空腹を感じずにいること。競合は他社のシェイクではなく、すぐ食べ終わるバナナや手が汚れるドーナツでした。
本書の教訓は、Why Nowは商品の中ではなく、その人が置かれた状況の中にあるということです。ただし顧客自身が語ってくれるとは限らないため、続く節で課題の4層構造へ進みます。
本書での位置づけ
第6章「顧客はプロダクトを「雇う」」(P139〜140)。ルール3の導入部で、「時期が来たら検討します」の正体を解いた直後にWhy Nowの在り処を示す理論として置かれ、課題の4層構造へつながる。
本文より
「クリステンセンはこの構造を、「顧客はプロダクトを買うのではない。ジョブを片づけるためにプロダクトを雇うのだ」と表現しました。」(第6章)
「ジョブ理論は、顧客が商品を選ぶ理由である「Why Now」は、商品の中ではなく、その人が置かれた状況の中にあるということを教えてくれます。」(第6章)
関連用語
独自用語
Why Now
(ホワイナウ)
買い手が「いつか」ではなく「今」動く理由のこと。現状維持という最強の競合を上回る動機であり、待つものではなく営業側が顧客の中から掘り当て、醸成するもののこと。
図版・フレーム名
課題の4層構造
(かだいのよんそうこうぞう)
顧客の課題を第1層 理想→第2層 現状→第3層 原因→第4層 阻害要因の順に掘り下げ、今日まで解決されなかった理由まで届かせるヒアリングの枠組み(図6-①)のこと。
独自用語
3つの鉱脈(変化・圧力・失敗)
(みっつのこうみゃく(へんか・あつりょく・しっぱい))
課題の構造の次に掘る「時間軸」の手がかりで、顧客の中に埋まったWhy Nowの原石が見つかる3つの場所(変化・圧力・失敗)と、それぞれを掘る質問群のこと。
ルール
ルール3 Why Nowを掘り当てる
(ルールさん ホワイナウをほりあてる)
7つのルールの3番目で、顧客が「今動く理由」であるWhy Nowを、向こうから来る“時期”として待つのではなく、営業が顧客の内側と外側から掘り当てて設計する原則のこと。
一般用語(本書での使い方)
現状維持バイアス
(げんじょういじバイアス)
人が無意識に「今のままでいること」を選んでしまう傾向を指す行動経済学の概念。本書では4つのブレーキの①で、提案が競合より先に戦う「何もしないこと」の正体と位置づけるもののこと。
FAQ
ジョブ理論は、新規事業の営業にどう関係しますか?
本書は、顧客が商品を選ぶ理由であるWhy Nowは商品の中ではなく、その人が置かれた状況の中にあることをジョブ理論から学びます。機能を語るより、顧客がどんな状況でどんな用事を片づけたいのかを掘ることが、今買う理由の発見につながります。
ミルクシェイクの事例のポイントは何ですか?
属性調査や理想の顧客像へのヒアリングでは売上が動かず、購買の状況を観察して初めて、早朝の通勤客が退屈な運転と空腹をしのぐために買っていたと分かった点です。このジョブの競合は他社のシェイクではなく、バナナやドーナツでした。
出典: 『ゼロイチ営業』(中山健彦・株式会社MarchOn)。更新日 。版: ゲラ準拠・第12章改稿版準拠。引用は1ページあたり2件まで。