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独自用語
参照点バイアス(さんしょうてんバイアス)
4つのブレーキの④で、人は価格ではなく頭の中の基準(参照点)との比較で高い安いを判断するため、相場のない新しい価値に買い手が手近な参照点を持ち込み「高い」と感じてしまう傾向のこと。
更新日 。版: ゲラ準拠・第12章改稿版準拠。
参照点バイアスとは、人は価格だけを見て高い安いを決めるのではなく、過去に払った金額や競合の価格など頭の中の基準(参照価格)と比べて判断する性質から生まれるブレーキで、4つのブレーキの④です。
新規事業で深刻なのは、既存市場には「相場」という共有された参照点があるのに、新しい価値には参照点がないからです。買い手は無料の代替手段など手近な参照点を持ち込み、その隣に置かれた瞬間、提案は「高い」ものになります。本書は、初代iPhoneが比較の基準を「携帯電話一台」から「iPodとスマートフォンを別々に買った場合」へ移した例を挙げます。
対処は3つです。第一に、「高い」を拒絶と訳さず「何と比べて高いとお感じですか?」と尋ねること。第二に、価格の前に営業が参照点を先に置くこと。「現状の人件費換算で月◯◯万円」と土俵を示し、見えない請求書を最良の参照点として効果の金額を先、価格を後に示します。第三に、代替できる「対象」を広く設定し、作業時間や外注費、既存ツールの利用料を合わせて土台に載せることです。
本書での位置づけ
4つのブレーキの④。第1章の節「「高い」は拒絶ではなく、比較の結果である【参照点バイアス】」(P46〜49)が本文。図1-2「買い手ブレーキ診断表」の対処は「参照点を先に置く/価格の単位を替える」「「何と比べてですか?」と尋ねる」、章末サマリーでは「価格の参照点と単位の再設計」と整理されます。
本文より
「売り手が想定していなかった参照点の隣に置かれた瞬間、あなたの提案は「高い」ものになるのです。」(第1章)
「第一に、「高い」を拒絶と訳さないこと。「高いですね」という言葉は、買い手が何らかの基準と比較した結果です。だから返すべき言葉は値引きではなく、質問です。」(第1章)
関連用語
図版・フレーム名
4つのブレーキ
(よっつのブレーキ)
買い手の脳に標準装備された、新しいものを買わない方向に働く4つの心理バイアス(現状維持・近視眼・同調性・参照点)を、商談で出る典型セリフと対処とともに整理した基本フレームのこと。
独自用語
見えない請求書
(みえないせいきゅうしょ)
今のやり方にも毎月発生しているのに、請求書として届かないためゼロに見えている手作業の工数・ミスの手戻り・機会損失のコストで、営業が可視化して提案書の冒頭と参照点に置くもののこと。
一般用語(本書での使い方)
現状維持バイアス
(げんじょういじバイアス)
人が無意識に「今のままでいること」を選んでしまう傾向を指す行動経済学の概念。本書では4つのブレーキの①で、提案が競合より先に戦う「何もしないこと」の正体と位置づけるもののこと。
図版・フレーム名
8つの「ない」
(やっつのない)
既存事業にはあって新規事業にはない8つの前提(実績・事例・営業の型・紹介の連鎖・価格の相場・予算科目・前例・成功と失敗のデータ)を対比した第3章の比較表のこと。
独自用語
Why Now
(ホワイナウ)
買い手が「いつか」ではなく「今」動く理由のこと。現状維持という最強の競合を上回る動機であり、待つものではなく営業側が顧客の中から掘り当て、醸成するもののこと。
FAQ
「高いですね」と言われたらどうすればよいですか?
値引きの前に「何と比べて高いとお感じですか?」と尋ねます。「高い」は買い手が何らかの基準と比較した結果で、答えに今どの基準で評価されているかが表れます。基準が自社の価値を捉えていないなら、比較の基準を見直します。
参照点を先に置くとは具体的に何をすることですか?
価格を提示する前に、「現状の人件費換算で月◯◯万円」「このミスが年に◯回起きたときの損失◯◯万円」など比較の土俵を営業が自分で示すことです。今いくらかかっているかという見えない請求書が最良の参照点で、効果の金額を先、価格を後に示します。
出典: 『ゼロイチ営業』(中山健彦・株式会社MarchOn)。更新日 。版: ゲラ準拠・第12章改稿版準拠。引用は1ページあたり2件まで。