図版・フレーム名
4つのブレーキ(よっつのブレーキ)
買い手の脳に標準装備された、新しいものを買わない方向に働く4つの心理バイアス(現状維持・近視眼・同調性・参照点)を、商談で出る典型セリフと対処とともに整理した基本フレームのこと。
更新日 。版: ゲラ準拠・第12章改稿版準拠。
「4つのブレーキ」とは、買い手の脳に標準装備された、新しいものを買わない方向に働く4つの心理バイアスのことです。①現状維持バイアス、②近視眼バイアス、③同調性バイアス、④参照点バイアスの4つで、本書はこれを、買い手が頑固だからではなく、行動経済学や社会心理学が示す人間の意思決定の仕様だと位置づけます。
重要なのは、新規事業の失注の大半が競合負けではなく「見送り」「現状維持」に消えるからです。著者(中山健彦)の2,000回超の商談記録では、「競合他社に負けた」記録はほとんどなく、大半は「今回は見送りで」「一旦、現状のままで」でした。
ブレーキは説得では消えませんが、仕様を知っていれば対処は設計できます。ブレーキは決まった言葉になって商談に現れるため、図1-2「買い手ブレーキ診断表」でセリフと対処を覚え、商談前にどのブレーキが強い相手かを見立てる「ハンデ表」を持って臨みます。営業の仕事はブレーキの破壊ではなく、小さく始められ、手間がなく、証拠があり、比較の土俵が正しい道を設計することです。
本書での位置づけ
第1章「人は新しいものを買わないようにできている」の中核フレーム。図1-1「買い手の脳内にある4つのブレーキ」(P35)、図1-2「買い手ブレーキ診断表」(P51)、章末の「上司・決裁者への説明サマリー」と現場のTips「AIにブレーキ役を演じてもらう」(P52〜53)に対応し、第3章・第6章・第9章・第11章で再引用、第10章の図10-2で再掲されます。
本文より
「人間の脳には、「新しいものを買わない」方向に働くブレーキが、標準装備されています。それは買い手が頑固だからでも、不勉強だからでもありません。」(第1章)
「営業の仕事はブレーキを「破壊」することではなく、ブレーキがかかったままでも安心して踏み出せる道、すなわち、小さく始められ、手間がなく、証拠があり、比較の土俵が正しい道を設計することです。」(第1章)
関連用語
一般用語(本書での使い方)
現状維持バイアス
(げんじょういじバイアス)
人が無意識に「今のままでいること」を選んでしまう傾向を指す行動経済学の概念。本書では4つのブレーキの①で、提案が競合より先に戦う「何もしないこと」の正体と位置づけるもののこと。
独自用語
近視眼バイアス
(きんしがんバイアス)
法人購買で、担当者が将来の効果より目先の導入負担を重く感じてしまう傾向を本書で名付けたもの。4つのブレーキの②で、「前向きに検討します(=今はやらない)」を生む心理のこと。
独自用語
同調性バイアス
(どうちょうせいバイアス)
一人で決めにくいとき周囲の判断に合わせる「同調」が購買判断に表れる傾向を本書で名付けたもの。4つのブレーキの③で、「他社さんの導入実績は?」の質問となって商談に現れるもののこと。
独自用語
参照点バイアス
(さんしょうてんバイアス)
4つのブレーキの④で、人は価格ではなく頭の中の基準(参照点)との比較で高い安いを判断するため、相場のない新しい価値に買い手が手近な参照点を持ち込み「高い」と感じてしまう傾向のこと。
独自用語
見えない請求書
(みえないせいきゅうしょ)
今のやり方にも毎月発生しているのに、請求書として届かないためゼロに見えている手作業の工数・ミスの手戻り・機会損失のコストで、営業が可視化して提案書の冒頭と参照点に置くもののこと。
独自用語
Why Now
(ホワイナウ)
買い手が「いつか」ではなく「今」動く理由のこと。現状維持という最強の競合を上回る動機であり、待つものではなく営業側が顧客の中から掘り当て、醸成するもののこと。
ページはまだない: 買い手ブレーキ診断表(ハンデ表)
FAQ
4つのブレーキとは何ですか?
買い手の脳に標準装備された、新しいものを買わない方向に働く4つの心理バイアスです。①現状維持、②近視眼、③同調性、④参照点の4つで、本書は説得では消えないが対処は設計できる「人間の意思決定の仕様」として扱います。
商談ではどう使えばよいですか?
ブレーキは「一旦このままで」「高いですね」など決まったセリフになって商談に現れます。図1-2の診断表でセリフと対処をセットで覚え、商談前に「この相手はどのブレーキが強いか」を見立てる「ハンデ表」を持って臨みます。
出典: 『ゼロイチ営業』(中山健彦・株式会社MarchOn)。更新日 。版: ゲラ準拠・第12章改稿版準拠。引用は1ページあたり2件まで。