一般用語(本書での使い方)
キャズム(キャズム)
ジェフリー・ムーアが指摘した、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間に横たわる深い溝。本書では市場の16%と84%の間で購買の論理が入れ替わる「新規事業最大の断崖」のこと。
更新日 。版: ゲラ準拠・第12章改稿版準拠。
Chasm
一般には、マーケティング・コンサルタントのジェフリー・ムーアが著書『キャズム』で指摘した、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間に横たわる、他のどのカテゴリ間よりも深い溝を指します。本書では、実績ゼロでも買いうる市場の16%と、実績と事例がそろってから動く84%の間にある「新規事業最大の断崖」として、図3-④に示されます。
重要なのは、この溝の前後で購買の論理が入れ替わることです。前者は製品が示す将来像や先行者として得られる価値を見ますが、後者は自社と似た顧客で成果が出ているか、安心して導入できる状態まで整っているかを重視します。第3章冒頭の2人の営業担当の悲劇は、多数派に効く技術の達人が、判断材料のまだそろわない市場を耕していた、とこの理論で説明されます。
第5章でもムーアの主張が引かれます。初期市場から次の市場へ広げる際には、単一の業界と明確な用途に対象を絞り、十分な実績をつくること。著者(中山健彦)が1社目でアパレルECに絞った判断の理論的な裏づけです。
本書での位置づけ
初出は第3章「最初の顧客は、実績がない状態で売らなければならない」(P96〜97)の図3-④「ロジャーズの採用者分布とキャズム」。第5章「「アパレルECしか攻めない」と決めた日」(P129)でムーアの主張が再参照される。出典は『キャズム Ver.2 増補改訂版』(川又政治訳、翔泳社、2014年)。
本文より
「そしてこの16%と84%の間にこそ、新規事業最大の断崖があります。」(第3章)
「前者は、製品が示す将来像や先行者として得られる価値を見ますが、後者は、自社と似た顧客で成果が出ているか、安心して導入できる状態まで整っているかを重視します。」(第3章)
関連用語
一般用語(本書での使い方)
アーリーアダプター(市場の16%)
(アーリーアダプター(しじょうのじゅうろくパーセント))
ロジャーズの採用者分類で、実績がそろう前でも自ら判断して動く13.5%の人。本書ではイノベーター2.5%と合わせた市場の16%を、実績ゼロでも買いうる相手として扱う概念のこと。
独自用語
好評止まり
(こうひょうどまり)
現場でも上層部でも評判はよく、名刺や労いの言葉は集まるのに、お金を払う顧客が現れず、その先へ進まない新規事業の状態を指す本書の命名のこと。
独自用語
実績ゼロ
(じっせきゼロ)
導入実績も事例も人脈もない状態から新しいものを売らなければならない時期や立場を指す、本書全体が想定する営業の出発点のこと。
一般用語(本書での使い方)
ビーチヘッド
(ビーチヘッド)
マーケティングで「最初に上陸する一点」を指す語。本書では、誰に売るかと同時に「誰に(まだ)売らないか」を決め、最初に攻める市場・顧客層を絞る設計のこと。
キーメッセージ
売るな、設計せよ
(うるな、せっけいせよ)
第3章末で第1〜3章を締めくくる本書のキーメッセージ。「売ることを諦めよ」ではなく「売れる状態を設計してから売れ」の意味で、属人の「頑張り」を「構造」に変えるよう求める言葉のこと。
FAQ
キャズムは新規事業の営業とどう関係しますか?
キャズムの前後では買う理由が入れ替わります。16%は将来像や先行者の価値で買い、84%は似た顧客の成果と安心を求めます。実績のない段階で84%向けの営業技術を使っても受注に至らない、と本書は説明します。
キャズムを越えるために本書は何を勧めていますか?
第5章でムーアの主張を引き、初期市場から次の市場へ広げる際は、単一の業界と明確な用途に対象を絞って十分な実績をつくることを重視します。著者の1社目がアパレルECに絞った判断が、その具体例として語られます。
出典: 『ゼロイチ営業』(中山健彦・株式会社MarchOn)。更新日 。版: ゲラ準拠・第12章改稿版準拠。引用は1ページあたり2件まで。