独自用語
実績ゼロ(じっせきゼロ)
導入実績も事例も人脈もない状態から新しいものを売らなければならない時期や立場を指す、本書全体が想定する営業の出発点のこと。
更新日 。版: ゲラ準拠・第12章改稿版準拠。
「実績ゼロ」とは、導入実績も事例も人脈もない状態から新しいものを売ること、またはその時期を指します。著者(中山健彦)は誇れる学歴も人脈もない「ゼロ」から営業で人生を立て直し、創業のたびに「実績ゼロ」に戻って売り始めたと述べています。
この状態が重要なのは、既存事業の営業の武器が使えないからです。第3章によれば、既存事業の典型的な営業は「実績を語り、事例を見せ、相場感で背中を押す技術」で、すべて「ある」ことが前提です。実績も事例もない段階の商材を買いうるのは市場の16%にすぎず、残りの84%は実績と事例がそろってからでないと買いません。第1章では「他社の導入実績は?」が実績ゼロから売る側には残酷な質問だとされます。この場面は、突然「来月から新商品を売ってくれ」と言われる既存営業にも訪れます。
本書全体が実績ゼロからの営業を前提に書かれています。第5章では実績ゼロを致命傷と見なさない相手から会うことを説き、終章はホンダのカブF型もiPhoneも最初は「実績ゼロ」だったと結んでいます。
本書での位置づけ
初出は「はじめに」P9〜10(創業のたびに「実績ゼロ」に戻る)。第1章(同調性バイアス、P42〜45)、第3章(16%と84%、P94〜97)、第5章(P115)、第8章、第11章「実績ゼロから『最初の事例』をつくる5つのステップ」(P263)を経て、終章の節「ホンダのカブF型もiPhoneも、最初は『実績ゼロ』だった」(P303〜306)と図13-②で締めくくられる。
本文より
「そして創業のたびに、また「実績ゼロ」に戻って売り始めました。」(はじめに)
「ホンダも、そしてあのiPhoneでさえ、最初はたった一つの「実績ゼロの新規事業」だったのですから。」(終章)
関連用語
図版・フレーム名
8つの「ない」
(やっつのない)
既存事業にはあって新規事業にはない8つの前提(実績・事例・営業の型・紹介の連鎖・価格の相場・予算科目・前例・成功と失敗のデータ)を対比した第3章の比較表のこと。
一般用語(本書での使い方)
アーリーアダプター(市場の16%)
(アーリーアダプター(しじょうのじゅうろくパーセント))
ロジャーズの採用者分類で、実績がそろう前でも自ら判断して動く13.5%の人。本書ではイノベーター2.5%と合わせた市場の16%を、実績ゼロでも買いうる相手として扱う概念のこと。
独自用語
同調性バイアス
(どうちょうせいバイアス)
一人で決めにくいとき周囲の判断に合わせる「同調」が購買判断に表れる傾向を本書で名付けたもの。4つのブレーキの③で、「他社さんの導入実績は?」の質問となって商談に現れるもののこと。
独自用語
会うべき人
(あうべきひと)
会いやすさではなく、購入の意思決定を動かせるか(Promoter・Authority)と新しさへの態度(アーリー性)で選ぶ、最優先で会う相手のこと。「会える人」の対概念。
キーメッセージ
事例が事例を呼ぶ
(じれいがじれいをよぶ)
最初の1社の事例に反応して来た「似た会社」を次の事例候補にし、事例が次の事例を生む循環のこと。事例は振り返って書くものではなく、最初の商談から設計して作るという第11章の命題。
図版・フレーム名
営業マインド5箇条
(えいぎょうマインドごかじょう)
著者が営業マネージャー時代から手放さずにいる、売らずに選ばれる/第一声を鵜呑みにしない/応援を設計する/点ではなく線で付き合う/売って終わりにしない、の5つの心得のこと。
FAQ
実績がないと本当に売れないのですか?
本書は、実績と事例がそろってからでないと買わない84%には売れにくい一方、実績がそろう前でも自分の判断で動ける16%が市場に存在するとし、まずその少数派に狙いを絞ることを勧めています。初期に受注が少ないこと自体は異常ではないという立場です。
「他社の導入実績は?」と聞かれたらどう答えればよいですか?
第1章では、実績のごまかしは最悪手だとし、「有償導入はこれから」と正直に伝えたうえで、検証データ・第三者の声・プロセスの開示といった実績の代わりになる証拠をセットで返す話法を商談前に準備するよう勧めています。
出典: 『ゼロイチ営業』(中山健彦・株式会社MarchOn)。更新日 。版: ゲラ準拠・第12章改稿版準拠。引用は1ページあたり2件まで。