独自用語
見えない請求書(みえないせいきゅうしょ)
今のやり方にも毎月発生しているのに、請求書として届かないためゼロに見えている手作業の工数・ミスの手戻り・機会損失のコストで、営業が可視化して提案書の冒頭と参照点に置くもののこと。
更新日 。版: ゲラ準拠・第12章改稿版準拠。
「見えない請求書」とは、今のやり方にも毎月発生している手作業の工数、ミスの手戻り、機会損失というコストのことです。請求書として届かないため買い手には「現状=コストゼロ」に見えているだけで、本書はこれを可視化することが営業の仕事だと位置づけます。
重要なのは、この「現状=コストゼロ」という感覚が現状維持バイアスを強力にしているからです。競合比較表を磨く時間の半分を現状維持のコストの可視化に振り替えることが第一の対処であり、人は得ることより失うことを大きく感じるため、「導入すれば月20時間浮きます」より「今、毎月20時間を失い続けています」のほうが脳に届きます。
集め方は商談での質問です。「今のやり方を1年続けたら何が起きそうか」「その作業に月何時間、何名かかっているか」「そのやり方が原因のトラブルで何を失ったか」を尋ね、答えを金額と時間に換算して提案書の冒頭に置きます。参照点バイアスの節では最良の参照点とされ、効果の金額を先に、価格を後に示す順番が重要だと説かれます。
本書での位置づけ
第1章の節「最強の競合は「何もしないこと」である【現状維持バイアス】」(P36〜38)で初出。図1-2「買い手ブレーキ診断表」の対処「現状のコストを可視化する」、章末サマリーの「現状維持コストの可視化と「やめられる設計」」に対応し、参照点バイアスの節(P49)で「最良の参照点」として再登場します。
本文より
「しかし、それは請求書として届かないからゼロに見えているだけです。営業の仕事は、この見えない請求書を可視化することです。」(第1章)
「【現状維持バイアス】の節でお伝えした“見えない請求書”(今いくらかかっているのか)は、最良の参照点です。効果の金額を先に示し、価格を後に示すという順番も重要です。」(第1章)
関連用語
一般用語(本書での使い方)
現状維持バイアス
(げんじょういじバイアス)
人が無意識に「今のままでいること」を選んでしまう傾向を指す行動経済学の概念。本書では4つのブレーキの①で、提案が競合より先に戦う「何もしないこと」の正体と位置づけるもののこと。
独自用語
参照点バイアス
(さんしょうてんバイアス)
4つのブレーキの④で、人は価格ではなく頭の中の基準(参照点)との比較で高い安いを判断するため、相場のない新しい価値に買い手が手近な参照点を持ち込み「高い」と感じてしまう傾向のこと。
図版・フレーム名
4つのブレーキ
(よっつのブレーキ)
買い手の脳に標準装備された、新しいものを買わない方向に働く4つの心理バイアス(現状維持・近視眼・同調性・参照点)を、商談で出る典型セリフと対処とともに整理した基本フレームのこと。
独自用語
Why Now
(ホワイナウ)
買い手が「いつか」ではなく「今」動く理由のこと。現状維持という最強の競合を上回る動機であり、待つものではなく営業側が顧客の中から掘り当て、醸成するもののこと。
独自用語
社内営業ツール
(しゃないえいぎょうツール)
提案書などの資料を、売り手の営業資料ではなく、顧客の担当者が売り手の代わりに社内で営業(説明・稟議)するための道具として設計する考え方のこと。
FAQ
見えない請求書とは何ですか?
今のやり方にも毎月発生している手作業の工数、ミスの手戻り、機会損失のコストです。請求書として届かないため買い手には「現状=コストゼロ」に見えており、これを可視化することが営業の仕事だと本書は位置づけます。
見えない請求書はどうやって可視化しますか?
商談で「今のやり方を1年続けたら何が起きそうか」「月に何時間・何名かかっているか」「過去のトラブルで何を失ったか」を尋ね、答えを金額と時間に換算して提案書の冒頭に置きます。価格より先に示す最良の参照点になります。
出典: 『ゼロイチ営業』(中山健彦・株式会社MarchOn)。更新日 。版: ゲラ準拠・第12章改稿版準拠。引用は1ページあたり2件まで。