一般用語(本書での使い方)
ビーチヘッド(ビーチヘッド)
マーケティングで「最初に上陸する一点」を指す語。本書では、誰に売るかと同時に「誰に(まだ)売らないか」を決め、最初に攻める市場・顧客層を絞る設計のこと。
更新日 。版: ゲラ準拠・第12章改稿版準拠。
Beachhead
ビーチヘッド(足がかり)とは、マーケティングで「最初に上陸する一点」を指して使われる語です。本書では、最初に攻める市場・顧客層を決める設計として使い、「誰に売るか」を決めると同時に「誰に(まだ)売らないか」を決めることだと位置づけます。興味を示す100人の全員が「今の顧客」ではなく、今の実績・価格・完成度で買える一部を見極め、残りは意図的に後回しにするのです。
著者(中山健彦)は1社目のFree Sparkで、創業初期に取れる商談をすべて取り、商談の学びも事例も次の業種に使えない低調な時期を経験しました。「アパレルECしか攻めない」と絞った瞬間、1件の学びが次の商談で使え、同業事例が機能説明より効き、口コミと紹介が回り始めました。
本書では候補を①痛みが深いか、②配置図がシンプルか、③類似する顧客が一定数いるかの3条件で採点し、単価×顧客数の4ゾーン図で④市場として成立するかを確かめます。第7章では市場に出る前の仮説として兆しで絞り直す対象となり、第11章では事例づくりの照準になります。
本書での位置づけ
語の初出は第2章末の予告(P70)。定義と選定基準は第5章「テスラはなぜ、最初の車をお金持ちにしか売らなかったのか」(P121〜122)から「「アパレルECしか攻めない」と決めた日」(P124〜129)と図5-③。第7章(P180)で「兆しで選び直す仮説」として、第11章では事例の照準(P263)とSTEP①の事例候補の基準(P265)として再登場する。
本文より
「ビーチヘッドの設計とは「誰に売るか」を決めることであると同時に、「誰に(まだ)売らないか」を決めることだという点です。」(第5章)
「一点突破は、単に対象を狭めることではありません。事例や学びを次の顧客へ使える市場を選び、限られた資源を集中する設計です。」(第5章)
関連用語
ルール
ルール2 最初に攻める相手を間違えない
(ルールに さいしょにせめるあいてをまちがえない)
7つのルールの2番目で、第5章の章題。興味を示す全員を「今の顧客」とせず、今の実績・価格・完成度で買える一部を見極め、残りを意図的に後回しにして最初に会う相手を絞るルールのこと。
図版・フレーム名
単価×顧客数の4ゾーン
(たんかかけるこきゃくすうのよんゾーン)
縦軸に顧客単価、横軸に顧客数を取り、ドリーム・ディープバリュー・マスバリュー・デッドの4つに分けて、絞った市場が事業として成立するかを確かめる図(図5-③)のこと。
一般用語(本書での使い方)
アーリーアダプター(市場の16%)
(アーリーアダプター(しじょうのじゅうろくパーセント))
ロジャーズの採用者分類で、実績がそろう前でも自ら判断して動く13.5%の人。本書ではイノベーター2.5%と合わせた市場の16%を、実績ゼロでも買いうる相手として扱う概念のこと。
一般用語(本書での使い方)
キャズム
(キャズム)
ジェフリー・ムーアが指摘した、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間に横たわる深い溝。本書では市場の16%と84%の間で購買の論理が入れ替わる「新規事業最大の断崖」のこと。
キーメッセージ
兆しが見えたら、広げず、絞れ
(きざしがみえたら、ひろげず、しぼれ)
再アポや他部署の同席など複数の兆しが見え始めたとき、間口を広げるのではなく兆しの出ているセグメントに絞り込み、そこで勝ちきってから広げるという本書の行動原則のこと。
図版・フレーム名
効く事例の3条件
(きくじれいのさんじょうけん)
導入事例が商談で働くために満たすべき3条件、類似性(これはうちの話だと思えるか)・権威性(誰がどの立場から語るか確認できるか)・具体性(数字と固有名詞で語られているか)のこと。
独自用語
財布と体験のねじれ
(さいふとたいけんのねじれ)
体験価値を受け取る人と、支払いを決定する人が別人であること。多くの商売に程度の差はあれ存在し、BtoBでは組織の階層の中に埋め込まれる構造を指す。
FAQ
ビーチヘッドを絞ると、目の前の商談を断ることになりませんか?
本書の著者も「怖い決断」だったと述べています。それでも絞った瞬間から、1件の学びが次の商談で使え、同業事例が効き、紹介が回り始めました。前提は、突破した先に市場として成立する広さがあることです。
最初に決めたビーチヘッドが外れていたらどうしますか?
ビーチヘッドは市場に出る前の仮説であり、最初から正しいセグメントに当たれるとは限りません。本書は、仮説で絞り、市場に出た事実(兆し)で絞り直す往復作業を勧め、異なる兆しが現れたら優先する対象を選び直すよう求めます。
出典: 『ゼロイチ営業』(中山健彦・株式会社MarchOn)。更新日 。版: ゲラ準拠・第12章改稿版準拠。引用は1ページあたり2件まで。