独自用語
売り方の設計ミス(うりかたのせっけいミス)
「誰に・なぜ今・どう買ってもらうか」が設計されないまま売る活動を始めてしまうこと。本書が新規事業の敗因として、プロダクトの欠陥より重く見るもののこと。
更新日 。版: ゲラ準拠・第12章改稿版準拠。
売り方の設計ミスとは、「誰に・なぜ今・どう買ってもらうか」を設計しないまま販売活動を始めてしまうことです。著者(中山健彦)が支援先の失敗要因を振り返ると、その多くはプロダクトの欠陥ではなく、この設計ミスに起因していました。
序章は、CB Insightsによる閉鎖スタートアップの事後検証を引きつつ、「ニーズがないものを作った」という解釈に疑問を投げます。消えていった事業でも課題そのものは実在していることが多く、課題が存在することと顧客が対価を払うことは同じではありません。予算や導入効果、決裁手続き、導入時期といった購入の条件につなげられなければ、好意的な評価は購入に変わらない。本書はこの状態を「市場との接続の失敗」と捉えます。
「売り方が問題なら営業を頑張ればいい」という発想は、頑張るほど失敗に近づくバーンアウト・ループを招きます。本書は、良いプロダクトを作る能力と買われる仕組みを設計する能力は別のスキルだとし、3つの根本原因の診断と7つのルールで売り方を設計し直す道筋を示します。
本書での位置づけ
序章「新規事業が止まる理由は、プロダクトの出来だけではない」(P18〜22)で初出(用語そのものはP22)。「市場との接続の失敗」の説明と対になり、バーンアウト・ループ、3つの根本原因へ続く導入部の中核。終章(P305)でも「まだ売り方を設計されていない良いプロダクト」として再登場する。
本文より
「その多くはプロダクトの欠陥ではなく、誰に・なぜ今・どう買ってもらうかという「売り方の設計ミス」に起因していました。プロダクトは敗因ではない。敗因は、設計されなかった売り方のほうにあるのです。」(序章)
「本書では、この状態を「市場との接続の失敗」と捉えます。」(序章)
関連用語
独自用語
買われる仕組み
(かわれるしくみ)
売れない根本原因は営業力やプロダクトではなく、これが設計されていないことにあるとする本書の中核概念で、「誰に・なぜ今・どう買ってもらうか」を売る前に定めた構造のこと。
独自用語
好評止まり
(こうひょうどまり)
現場でも上層部でも評判はよく、名刺や労いの言葉は集まるのに、お金を払う顧客が現れず、その先へ進まない新規事業の状態を指す本書の命名のこと。
独自用語
バーンアウト・ループ
(バーンアウトループ)
「良いものを作れば売れるはず」と信じて商談量を増やすほど、刺さらない相手に量を投下し、学びのないまま事業とチームが燃え尽きへ向かう新規事業特有の負のループのこと。
図版・フレーム名
3つの根本原因
(みっつのこんぽんげんいん)
売れない新規事業に共通する3つの原因。①「誰に売るか」未定のまま量を投下、②「効果があるか」未確認のまま拡販、③人脈依存のまま「売れた」と錯覚、のこと。
独自用語
誤診
(ごしん)
売れない原因を「営業力」や「プロダクト」のせいと取り違え、売る前の「設計」の問題である3つの根本原因を正しく診断できていない状態のこと。
キーメッセージ
売るな、設計せよ
(うるな、せっけいせよ)
第3章末で第1〜3章を締めくくる本書のキーメッセージ。「売ることを諦めよ」ではなく「売れる状態を設計してから売れ」の意味で、属人の「頑張り」を「構造」に変えるよう求める言葉のこと。
FAQ
「市場のニーズがなかった」と何が違うのですか?
本書は、失敗した事業の多くで課題そのものは実在していたと見ています。課題を予算・導入効果・決裁手続き・導入時期という購入の条件につなげられなかったのが実態で、ニーズ不在と片づけると何を直すべきかが見えなくなります。
売り方が問題なら、営業を頑張れば解決しますか?
本書の答えは「いいえ」です。設計がないまま商談量を増やすと、刺さらない相手に量を投下し、断られた理由も分からないまま消耗するバーンアウト・ループに入ります。先に「誰に・なぜ今・どう」を設計することが必要です。
出典: 『ゼロイチ営業』(中山健彦・株式会社MarchOn)。更新日 。版: ゲラ準拠・第12章改稿版準拠。引用は1ページあたり2件まで。